反復型ライフサクルのメリットがアダプティブ(適応型)。対立としてプレディクティブ(予測型)


前の記事では反復型ライフサイクル・モデルの呼び名として、イテレイティブとインクリメンタルを紹介しました。(*1)

(*1)イテレイテイブにインクリメンタル。反復型の特性を示す別称も半数が読めない“漸進”型

ここではもう一つの別称を紹介します。
アダプティブ adaptive。
適応型と和訳されます。

パソコンをコンセントに繋ぐ際に使用する機器をアダプタと言いますが、アレです。

アダプタはコンセントの電源をパソコンに ❝適応❞ させます。
つまり、コンセントとパソコンの電流の仕様の差を埋めるわけですが、アダプティブ・ライフサイクルが埋めるのものは、プロジェクトの成果物と要求との差です。

なぜ、これが反復型の別称かと言うと、反復型ライフサイクルのメリットであり、目的でもあるからです。

反復型の概要説明(*2)で、成果物の結果がどっちに転ぶか分からないと言いましたが、同時にその成果物を受け取る依頼側の要求もどう転ぶか分かりません。

(*2)反復型ライフサイクル。直列型との大きな違いはフェーズのアウトプット

成果物の結果によって要求が変わるのは当然ですが、ここはもっと先を行ってて、成果物が予想通りであっても、要求は変わるという前提です。

プロジェクト初期の計画で成果物の全てを作る直列型、ウォーターフォール型のプロジェクトの場合、途中で要求が変われば、変更としてマネジメントしなくてはなりません。

プロジェクトにおける変更は当然であるというのがPMBOKの立場ですが、変更要求がプロジェクトに負担を強いることに変わりはないわけです。

一方、反復型では、要求の変更は次の反復に反映させればいいだけです。
しかも計画していなかったわけですから、もはや変更という言葉すら当てはまりません。

例えば3回の反復からなるプロジェクトであれば3回、5回の反復からなるプロジェクトであれば5回、要求と成果物をフィットさせる機会があるということになります。

直列型、ウォーターフォール型は変更に頼る以外、要求を取り込む機会がプロジェクトの初期に一回しかありませんから、反復型との差は歴然です。

要求は変化する、プロジェクトに変更は付きものであるという考えと直列型、ウォーターフォールとの間にある矛盾。

この矛盾を解消すべく登場したのが反復型であり、その優位性を強調した呼び名がアダプティブ、適応型です。

 

リスク低減における反復型の優位性

さらに、プロジェクト・リスクの面からも反復型に優位性があります。

直列型、ウォーターフォール型モデルでは、プロジェクト期間の後半、成果物が具現化される時期でリスクが一気に下がります。(*)
言い換えると、そこに来るまではリスクを抱えたままです。

(*) プロジェクト・ライフサイクルとリスク。プロジェクト・マネジャーの腕の見せ所

反復型は一回目の反復から成果物をリリースするため、ここで大きくリスクを下げることが可能です。
以降も、反復を繰り返すごとにリスクは階段状に下がっていきます。

 

反復型をアダプティブ(適応型)と呼ぶ時、ウォーターフォールはプレディクティブ(予測型)と呼ぶ

さらに反復型のライフサイクルが登場したことによって、その対比として、従来型の直列型、ウォーターフォール型のライフサイクルはこう呼ばれるようになります。
プレディクティブ predictive(予測型)。

何やらまた新しいコンセプトが出てきた思いきや、なんのことありません。
プロジェクトの初期にスコープ、コスト、スケジュールが確定するプロジェクトのことで、これまで選択した意識すらなく使ってきたライフサイクル・モデルです。

予測型という言い方には、プロジェクトの初期に確定する計画は予測でしかないんだよという注意、皮肉にも聞こえます。

PMP試験向けにもプレディレクティブ・ライフサイクルはアダプティブと対比させて押えておいて下さい。

 

単純な優劣では語れないライフサイクルモデル

ここまで反復型開発の優位性を散々言って来た後でなんですが、誤解しないでもらいたいのは、反復型アゲ、予測型サゲではないということです。

なんにでも長短があり、それは反復型であろうと変わりません。

反復型が提唱されたのはPMBOKが世に登場する前も前。
コンセプトだけならすでに数十年以上の歴史があります。

もし本当に反復型ライフサイクルが優れているのであれば、普及していなければなりません。

しかし現実にはそれほど普及していません。
相変わらず直列型、ウォーターフォール型が幅を利かせているわけです。

次の記事ではその理由について説明します。




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