徹底比較!PMP vs 情報処理技術者 プロジェクトマネージャ、試験制度と難易度


PMPは業種や業界を問わない汎用的な資格ではあるのですが、資格者数、知名度ともにIT業界が突出しています。

で、どうしても比べられてしまうのが、IT業界において主に開発者側に君臨する資格制度、情報処理技術者試験。

現在、職務に応じて10区分(利用者サイドのものを入れると13区分)あって、この中にプロジェクトマネージャというのがあるわけです。
以下、”情報処理技術者PM”と記します。

ちなみに、Project Managerのカナ表記も微妙に違っていて、

プロジェクト・マネジャー ⇒PMBOK®ガイド日本語版
プロジェクトマネージャ  ⇒経産省認定の情報処理技術者

 

まずはオフィシャルなものを比べて見ましょう。

PMP 情報処理技術者
プロジェクトマネージャ
認定機関 米国PMI(民間資格、国際資格) 経済産業省(国家資格)
受験資格 プロジェクトマネジメント経験
プロジェクトマネジメント公式教育
なし
受験料 555ドル 5,700円
試験日 毎日 年一回(4月中旬の日曜日)
会場 東京、大阪 全国60箇所以上
試験時間 4時間 50分+40分+90分+120分=5時間
試験形式 CBT、4肢択一 午前Ⅰ 4肢択一、マークシート
午前Ⅱ 4肢択一、マークシート
午後Ⅰ 3問中2問を選択、記述式
午後Ⅱ 2問中1問を選択、論述
合格基準 非公開(概ね60%の正解率) 午後ⅡはA評価(4段階の最上位)
それ以外は60%の正解率
合格率 非公表  12%~14%
資格更新 3年毎(更新料150ドル) なし

 

プロジェクトマネジメント・スキルの判定のし方の違い

ざっと見て言えることはスキルの判定方法の違いです。
PMPの方は、プロジェクトマネジメント経験を自己申告と監査でチェックし、知識・見識の有無をテストによって見るやり方です。

一方、情報処理技術者PMは受験資格を設けず、ペーパー試験によって幅広く詳細にスキルの有無を判定しようとしています。

合格の難しさは情報処理技術者PMが圧倒

合格の難しさは文句なしに情報処理技術者PMの方です。
その理由を以下に書きます。

難易度の差は合格率ではなく、試験内容そのもの

情報処理技術者PMが合格率13%前後しかないのに対して、PMP試験は非公表ながら、高い合格率であることは周知の事実です。
「PMPの難易度を表す3つのモノサシ」

もっとも、合格率で試験の難易度は分かりません。
上の表の「受験料」と「試験日」を比べて想像できるかと思いますが、PMPと情報処理技術者PMでは受験に臨む覚悟が違います。

双方ともに競争試験ではなく、所定のレベルをクリアすれば合格できますから、情報処理技術者PMの合格率が低いのは、合格レベルに達していない受験生が数多く受験していると言えます。

PMP 情報処理技術者
プロジェクトマネージャ
母集団 合格する自信のある人しか受験しない。 申し込んだ手前、準備不足でも受験する。

 

ですから、情報処理技術者PMの方が難しいというのは、合格率がその理由ではありません。
理由は試験内容そのものにあります。

冒頭の比較表の「試験形式」の午前ⅠとⅡがPMPと同じ4肢択一形式です。
午前ⅠはIT、およびその周辺の専門領域に関する設問からなります。

午前Ⅱがプロジェクトマネジメントの知識を問うもので、この午前Ⅱが、形式も設問のレベルもPMP試験に近いと言えます。

(*)PMP試験に近い:
あくまでレベルが近いという意味。
設問数や聞かれる内容は違います。

PMP試験も午前Ⅱも合格のボーダーラインはともに60%。
(PMP試験は非公表ながら事実上)

両者の違いは、PMP試験がそれだけで合格できるのに対して、情報処理技術者PMの午前Ⅱは、午後試験に進むための関門に過ぎないということです。

もちろん、試験当日は全員、午後の試験を受けることが出来ます。
ですが、採点においては、午前のⅠかⅡのどちらかが60点未満であればその時点で不合格。
午後試験の採点は行われません。

午後試験は記述、論述ですから、採点に人手を要します。
その手間を省くための、単なる足切りが午前の試験の位置付けなのです。

そして午後試験の厳しさはPMPの比ではありません。
午後Ⅰは、非常に限られた時間の中で、数ページに渡る事例を読み込んで、課題や解決策を、指定された字数で答えなければなりません。

さらに午後Ⅱでは、自分が経験したプロジェクトを用いて、指定されたテーマに沿って3,600字(400字原稿用紙9枚)以内の論文にまとめなければなりません。

情報処理技術者PMに受験資格はありませんが、事実上、この論述試験が実務経験を判定するものとなっています。
とは言っても、論述内容の裏取りなどは行われませんから、創作によって採点者の目に叶う論文を書くことは不可能ではありません。

逆に、いくら豊富な実務経験があっても、合格するためには、短時間で論理的に一貫性のある主張を文章にまとめるという、知識習得だけでは対応できない対策が不可欠です。

この部分は得意・不得意の差が激しく、人にもよるのですが、苦手な人にとっては高いハードルになります。

多肢選択式の試験だけでマネジメントスキルを認定してくれるPMP資格は、文章力のないIT技術者も飲み込んで急速に広まっていくわけです。

さて、オフィシャルな試験制度の違いから、難易度の差がイメージできたところで、次はアン・オフィシャルな部分で比較をしてみたいと思います。




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