PMPの難易度を表す3つのモノサシ

PMPに興味を持ったら、まず気になるのは、その難易度でしょう。
ちょくちょく質問を頂戴します。

本来、難易度は相対的な評価ですから、なかなかズバリは答え難くく苦労します。
ここでは絶対評価として使えそうものをモノサシに選んで数値で説明します。

いずれも私が、PMPの初学者向けの説明で使っているものです。
PMPに合格された受験生からも、「概ね外していなかった」、「正しくイメージ出来た」、との評価を頂いています。

PMPの難易度を説明するためのモノサシは以下の3つです。

  1.  合格率
  2.  合格ライン
  3.  総学習時間

1.PMPの合格率

何人受験して、何人合格するのか?
合格率は試験の難易度を推し測るのに有効なモノサシです。

でも残念ながら、PMPの認定機関であるPMIはPMPの合格率を公表していません。

なので、うちの実績で示すことにします。
前提として、うちのPMP試験対策講座の受講生が対象だということです。

端的に言うと、

「PMP試験を受験された方の大半が合格します」

いきなり営業臭を感じた方もいるかもしれませんが、これはなにも当社だけではなく、おそらく他の受験校でも似たようなことになっているのではないかと思われます。

当社の数値を言うと、延べ人数ではPMPの合格率は80%を少し超えるぐらいです。

延べ人数というのは、不合格になった場合に一人の受験生が複数回受験するからです。
例えば、一人の受験生が2回目で合格したとすると、その人一人の合格率は50%になります。

延べ人数ではなく、一人の受験生をあくまで1とカウントすると、PMPの合格率は90%を優に超えます。

合格率だけから判断すると、PMPの難易度は高くないということになるのですが、それはちょっと待って欲しいのです。

例えば、医師国家試験の合格率は90%を超えます。
だからって簡単に医師免許が取れるとは誰も思わないでしょう?

これは、試験に合格できないような人は大学を卒業できない(受験資格が得られない)仕組みだからです。

医師国家試験の合格率は大学別でも公表されますから、大学としては受からない人を卒業させたくないのは当然です。

PMP試験にそういう仕組みはありませんが、受験生自らが、それと似た制約を課しています。
受かる自信がなければ受験しないんですね。

その最たる理由は受験料。
555ドル(PMI会員は405ドル)です。

この金額で一か八かで受験する人はいません。
お試し受験なんてゼロ。

また、多くの資格試験は試験日が決まっていますから、たとえ準備不足であっても受験しなければいけません。

でもPMP試験は、ほぼ毎日行われていますから、合格が厳しいと思えば受験日を延期すればいいだけです。

もうお分かりですね。
PMP試験の合格率が高いワケは、合格する人しか受験しないからです。

 

2.PMPの合格ライン

PMP試験は競争試験ではありません。
合格に定員はなく、所定のボーダーラインを超えれば合格です。

その合格ラインの目安は正解率61%です。
試験は200問ですから、122問正解すればいいわけです。

目安?

そうなんです。
カッチリしたものではありません。

いや、当然、カッチリした合否の基準はあるハズですが、合格率と同様、合格ラインもPMIは公表していないのです。

正確に言うと、あるときから公表を止めたということです。
61%というのはPMIが公表していたときの数値です。

PMIが公表を止めた今も、相変わらずこの数値が幅を利かせているのは、体感的に合格ラインに何ら変更は感じられないからです。

体感というのはいい加減なようですが、決して個人的な印象ではなく、多くの受験指導を行っている中で、合否データを追跡した結果でもあります。

事実上、合格ラインは61%と思って結構です。

さて、ではこの61%の捉え方なのですが、多くの人は実際より安易に捉えがちです。

無理もありません。
4択の択一式ですから、当てずっぽうでも25%は正解できるわけです。
そうすると、実力で、あと36%上積みすれば61%は達成できますね。

それは間違いではありません。
ですが、ここに一つの実績データをお教えしておきます。

現在、試験結果として出力されるスコアレポートは、「優れている」、「普通」、「劣っている」、の3段階評価です。

⇒現在はもう少し詳しくなっています。
PMP試験のスコアレポートが変わる。誰得?

でも、2008年までは出題分野ごとの詳細な正解率が数値で示されていました。

このときに受験生に提出して頂いたスコアレポートを見ると、PMPの合格者のほとんどが60%台の正解率です。

70%を超える正解率で合格する方はほとんどいません。
合格に自信を持って臨んでいる受験生をもってしてもです。

合格者のボリュームゾーンは65%前後ですから、ギリギリというわけではありませんが、余裕を持って合格しているわけではないのです。

これは、合格者が述べる受験後の感想とも一致していて、
「合格の手応えがなく不安だった」
「落ちたかも知れないと思った」

点数に多少の余裕はあっても、気持ち的には、ギリギリの合格というのが実感なのです。

このように、高得点は難しいのがPMP試験です。

100点満点の60点ではなく、80点満点の60点が合格。
これが正しい捉え方です。

 

3.PMP合格までの総学習時間

合格までにどれくらいの学習時間が必要か。
長ければ長いほど、試験の難易度は高いということになります。

これもうちの実績ベースで示します。

PMP試験対策講座の全カリキュラムを終えた後、どのくらいの期間を置いて合格しているのか、という追跡データです。

  • 受講後翌月に合格した人が15%
  • 受講後3ヶ月以内に合格した人が50%
  • 受講後10ヶ月以内に合格した人が80%

皆さん会社勤めですから、勉強できる時間を、仮に、平日1時間、休日2時間とすると、一ヶ月あたりの勉強時間はおよそ38時間となります。

これを上の3つの期間にそのまま当てはめると、

  • 受講後38時間未満の学習で合格した人が15%
  • 受講後114時間未満の学習で合格した人が50%
  • 受講後380時間未満の学習で合格した人が80%

となります。

さて、ここからは感覚的なものになるですが、受講終了後、わずか38時間の復習で合格するというのは、いくらなんでも無理があります。

逆に380時間という学習時間は十分過ぎるというか、10ヶ月間もの間、毎日コンスタントに復習に費やすということに、やり過ぎ感があります。

この3つのパターンで最もしっくりくるのが、真ん中の114時間なんです。

つまり、翌月に合格された方というのは、仮定した平日1時間、週末2時間を、2倍から2.5倍にして、集中して取り組むことで短期合格を果たされたんだと思います。

逆に10ヶ月までで合格された方は、その期間丸々学習に費やしたのではなく、業務の忙しさ等で途中に間が空いてしまったと思われるわけです。

受講後の自己学習時間を114時間とし、これにPMP試験対策講座の受講時間35時間を加えます。

すると、合計が149時間。
1時間を受講前学習(*)として加えて150時間。

これが実績からも、あるいは感覚的にもしっくりくるPMP受験までの標準的な学習時間です。

(*)受講前学習:
受講生には、講座の前にPMBOK®ガイドを一読するようにお願いはするのですが、実際は講座初日に初めて開く方がほとんど。

 

4.まとめ

PMPの難易度を知る3つのモノサシ。

  1. 合格率: 公式には非公開だが80%~90%。
    合格に自信のある人だけが受験しているのが実情。
  2. 合格ライン: 公式には非公開ながら、61%の正解率が目安。
  3. 総学習時間: PMP試験対策講座35時間を含んだ150時間

 

以下の記事もPMP試験の難易度を推し量るの役立ちます。

講師のPMP受験体験記その一。スコア・レポート大公開!試験範囲はPMBOKガイドじゃなくPMBOK

講師のPMP受験体験記その二。一発合格大作戦。超省エネ模擬試験



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