人的資源マネジメント計画書。構成も大切だが、まず組織原則を知ろう


人的資源マネジメント計画書は、人的資源マネジメントの計画プロセス群、人的資源マネジメント計画のアウトプットです。

プロジェクトマネジメント計画書の補助の計画書です。

中身を確認していきましょう。

  1. 役割と責任
  2. プロジェクトの組織図
  3. 要員マネジメント計画書

3つだけかと思いきや、3.の要員マネジメント計画書には、またいくも項目があったりして、つまり階層化されてるんですね。

人的資源マネジメント計画書が、大所、高所からの方針とすれば、要員マネジメント計画書は、より具体的な計画が記されたもの、という理解で結構です。

どれが人的資源マネジメント計画書で、どれが要員マネジメント計画書かというような区別は、PMP試験の論点になりませんから気にする必要はありません。

1. 役割と責任

プロジェクトの必要な役割と責任を定義します。

スタッフを募るとき、どういう役割かって普通に考えますよね。

でも、責任ってどうでしょう?
意識してます?

「役割を果たすことが、責任じゃん。」

ま、そうなんですが、ここは、もう少し踏み込んで、では、次のことは意識してますか?

「責任を負わせるということは、すなわち権限を与えるということです」

単に仕事を振ることじゃないんですよ。

PMBOK®ガイドの役割と責任の項には以下の項目が並んでいます。

そして、重要なことは、

権限と責任を一致させること。

責任に相応しい権限を与え、
権限に見合う責任を負わせる。

人的資源マネジメント計画のツールと技法に組織論がありますが、権限と責任の一致は組織論の大原則です。

これが一致していないと組織はうまくいきません。
組織運営に行き詰ったとき、権限と責任の一致を疑ってみてください。
もし、これが不一致であれば、マネジメントでどうこうしようとしても無理があるからです。

自分で決めたことなんだから、自分が責任をとる。
あるいは、
責任を背負っているんだから、自分に決めさせてもらう。

単に、こういうことです。
当然ですよね。

2. プロジェクトの組織図

人的資源マネジメント計画のツールと技法の組織図と職位記述書で紹介されている、OBS、RAM、テキストを使いわけていきます。

3. 要員マネジメント計画書

計画書の中の計画書ですが、
人的資源マネジメント計画における、より具体的な部分です。

考慮すべきものとしてPMBOK®ガイドに挙げられているものを確認しておきましょう。

上から順番に見て行きましょう。
リンクが貼ってある項目はそちらを参照してください。

要員マネジメント計画書ー要員調達
どんな人が、いつ、どれだけ必要で、どこから連れてくるのかといったことです。

調達のし方に付随する課題を認識して計画することになりますが、
下記のような選択肢がからみ合っています。

・経験やスキルとコストとの兼ね合い

・内部者か外部者か

・機能部門マネジャーや人事部門との調整
プロジェクト・マネジャーにとっては交渉相手にもなります。

・マトリックス型組織の可否
フルタイムにこだわらない、兼任でも容認できる、という選択をすれば、調達の幅は確実に広がります。

でも、マネジメントは難しくなりますから、これもトレード・オフです。

要員マネジメント計画書ートレーニングのニーズ
現実には、スーパーマンばかりのチーム編成はできません。

ほとんど場合、足りないものをプロジェクトのニーズにどうフィットさせていくか、これが求められるわけです、

コンピテンシーが不足していれば、事前の、あるいはプロジェクト内のトレーニングによって引き上げていくしかありません。

これも行き当たりばったりではなく、まずは計画に基づいて実施されるということです。
後続のプロジェクトマネジメント・プロセス、チーム育成のツールと技法である”トレーニング”に引き継がれていきます。

要員マネジメント計画書ー表彰と報奨
好ましい行動、顕著な成果に対する表彰制度や、報奨制度のことです。

スタッフに対して、組織が望む強いメッセージになりますし、スタッフのやる気に繋がります。

思いつきで行うと、公平性を欠き、逆に不満要素にもなりかねません。
また、スタッフが、そこを目指して行動するというプロジェクトにとってのメリットが得られません。

なので、計画して、周知しておくわけです。

後続のプロジェクトマネジメント・プロセス、チーム育成のツールと技法である”表彰と報奨”に引き継がれていきます。

要員マネジメント計画書ーコンプライアンス
法令順守のことです。

当然のことのようですが、有名企業がしょっちゅうマスコミを賑わしているのはご存知のとおり。
無名企業のものは表に出ないだけでしょう。

横領等の確信犯はともかく、利益追求の中で、普通の善良な社会人が違法行為を行うわけです。

著作権や、個人情報保護法、下請法、労働基準法など、微妙なものも多く、無意識に違法行為が行われていたりもします。

実際、労働者派遣法なんてのは守られていませんしね。(*)

(*)派遣法が守られていない:
ITプロジェクトでは、派遣スタッフなくして成り立たないといってもいいぐらいですが、改正が繰り返されていること、罰則規定がないということもあって、現場では周知されていません。
・事前面談の禁止
・指示命令権者は契約時に指定した一人のみ
こういうのは、ほとんど有名無実化しています。
ただ、製造業ほど醜くはないように思います。

また、パワハラや、セクハラなんてのは、平成初期ぐらいまでは、その概念すらありませんでした。

マネジメントの役割は、 まずはコンプライアンスを課題として認識すること。
そして、法令違反が起こらないように環境を整備することです。

後続のプロジェクトマネジメント・プロセス、チーム育成のツールと技法である”行動規範”に引き継がれていきます。

 

要員マネジメント計画書ー安全
専門領域によって、その重要度は差がつく部分ではあります。

土木や、建設などのプロジェクトでは、”安全第一”。
すべてにこれが優先するわけで、この項目だけで、スケジュール・マネジメントや、コスト・マネジメントと同列に論じてもいいくらいです。

”安全・衛生” と呼ばれたりもしますが、このうちの”衛生”の部分で、最近、課題として認識されているのは、メンタルヘルスです。

これも時代の変化です。

さすがに今では、鬱(ウツ)症状を知らない人はいませんが、昔は、”だらしない奴” で済まされていたもんです。

スタッフだって、ステークホルダーですよ!
プロジェクト・マネジャーさん。




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