事業価値。プロジェクトが意識すべき組織の存在意義


事業価値 business value は、すべての有形・無形の要素を総計した、事業全体の価値として定義される組織固有の概念である。
<PMBOK®ガイド>

事業価値はプロジェクトの成り立ちを理解するための論点の一つです。
プロジェクトの目的は様々ですが、例外なく事業価値を高めるために実施されるというわけ。

何をそんな当たり前のことを?
ですよね。

だから、事業価値がとりわけ議論の対象となるのは、プロジェクトの直接の目的と事業価値との間に距離がある場合です。

たとえば、航空会社が他社に先駆けて斬新な予約システムを導入するプロジェクトの場合、このプロジェクトが会社の事業価値を上げることに何の説明も必要ありません。
誰が見ても、プロジェクトの成功と事業価値は直結するからです。

ところが、「社員食堂メニュー刷新プロジェクト」はどうでしょう?

こうした一見、事業価値と関係のないように見えるプロジェクトであっても、事業価値を高めることと関係のないプロジェクトを実施することはあり得ないというのが、PMBOKのメッセージです。

食堂メニューの刷新によって、社員が健康になる、あるいは会社への忠誠心が増す。
即効性はないかもしれませんが、長期的な事業価値につながるからこそ、組織はプロジェクトに採用するわけです。

プロジェクト・マネジャーがここの理解を外さなければ、重要なステークホルダーを見落とすとか、見誤るとかのミスはなくなるし、プロジェクトにおける瑣末な対立の解決にも役に立つというわけ。
いわゆる、困ったときは原点に還るっていうことです。

 

では、冒頭で紹介した事業価値の定義に補足します。
まず、有形、無形という箇所。

有形の例としては、建物・設備、ソフトウェア、現預金、証券、etc.

ソフトウェアや証券を有形と呼ぶのに違和感があるかもしれませんが、要は容易に金額に換算できるものです。
会計の知識がある人には、貸借対照表の左側(*)と言えば分かり易いかもしれません。

(*)貸借対照表の左側:
もちろん、総額は左右同じですが、資金の調達方法が書かれている右側ではなく、資金の運用方法が書かれている左側こそが、PMBOKが言う事業価値です。

で、無形はそれ以外。
信用、ブランド、商標、顧客、社員、etc.

顧客や社員を無形と呼ぶことに違和感があるかもしれませんが、こういうのは金額換算が難しく、貸借対照表はもちろん、決算書にも出てきません。
だとしても、稼ぎの源泉であり、事業価値であることに疑いないわけです。

あと、過去にどこかで経営理論や会計などを学んだ人にとっては、それら知識とのスリ合わせが必要かもしれません。

ここまで解説してきた事業価値business valueは一般的には企業価値enterprise valueと呼ばれているものですよね。
だからこそ、貸借対照表で説明がつくわけです。

企業は複数の事業を抱えているのが一般的です。
つまり、複数の事業価値によって企業価値が形成されているわけです。

本来の事業価値とは、その事業から生み出される将来のキャッシュ・フローを現在価値に割り引いたもの(理解できない人は無視してください)なのですが、PMP試験でこうした正しい知識を振り回すと、却って選択肢を誤ることもあるので注意してください。

PMP試験対策としては、企業価値、すなわち事業価値と理解しておいて大丈夫です。

 

さて、事業価値には、すでに達成している事実としての事業価値とは別に、組織が目指すべき理想のものがあります。

このギャップをどうやって埋めるのか?
これが「戦略」です。
組織戦略。プロジェクト・マネジャーが知ることのメリット


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