組織のプロセス資産。お決まりのインプットだからって環境要因との違いは歴然


プロジェクトの計画や実行の、あらゆる場面に際してインプットにすべき資産。
母体組織が保有しているプロジェクトに役立つ財産の総称が「組織のプロセス資産」Organizational Process Assets です。

資産といっても、ここでは、建物や机・いす、コンピュータといった、ハードウェアには関心はありません。

プロセス、手順や方法に関することです。
PMBOK®ガイドでは、組織のプロセス資産を大きく二つに分類しています。

  • プロセスと手順
  • 企業の知識ベース

「プロセスと手順」の多くはマニュアル化されていたりして、公式化されています。

実際の試行錯誤の結果として組織独自に最適化されたものですから、プロジェクトとして、これを活用しない手はありません。

というか、この存在を知らないで勝手に進めれば、品質、スケジュール等でしなくもいい苦労をすることになります。

 

そして、「企業の知識ベース」、いわゆるナレッジです。
組織が保有する知識、ノウハウ、経験、すべてです。

こちらは、「公式、非公式」とあるとおり、文書化されたものばかりではありません。
極端なことを言えば、特定の従業員が持つノウハウも組織のプロセス資産です。

もちろん、ノウハウを再利用するためには、共有化を図ることが望ましいのは言うまでもありません。

さて、プロジェクトのあらゆるプロセスのインプットと聞くと、「組織体の環境要因」が思い浮かびますが、似て非なるものだということを押さえておきましょう。

PMP試験の論点にもなります。

組織体の環境要因はプロジェクトの外側のことですから、母体組織から見れば、内部と外部の両方があります。
これに対して組織のプロセス資産はすべて母体組織内部にあります。

プロジェクトにもたらす影響としては、組織体の環境要因は、プラス面、マイナス面の両方。
これに対して、組織のプロセス資産はすべてプロジェクトに利するものです。

組織体の環境要因も、組織のプロセス資産も、あらゆるマネジメント・プロセスのインプットですが、対処するためのインプットが組織体の環境要因であるのに対して、組織のプロセス資産は活用するためのインプットなわけです。

そして、両者の最たる違いがアウトプットになるか、ならないか。
プロジェクトからのコントロールが効かない、つまりアウトプットにならないのが組織体の環境要因であるのに対して、組織のプロセス資産はアウトプット先にもなります。
プロジェクトによる更新対象なわけです。

組織のプロセス資産には非公式のものも含みますから、プロジェクトの活動結果が自然とそのまま組織のプロセス資産となるという見方もあります。
同時に、プロジェクトは獲得した教訓を組織のプロセス資産として残し、他のプロジェクトが再利用出来るようにしなければならないというのがPMBOK®ガイドのメッセージです。

この考えはPMBOK®ガイドの体系に表現されていて、組織のプロセス資産は計画プロセス群を中心に多くのマネジメント・プロセスのインプットに挙げられていると同時に、実行プロセス群、監視・コントロール・プロセス群のアウトプットにも挙げられているわけです。

計画プロセス群のアウトプットにならないのは、計画しただけでは教訓にならないからです。
実行して初めて、正しかったのか、マズかったのかが分かり、それがすなわち組織のプロセス資産になるからです。

このような意図さえしっかりと押さえていれば、マネジメント・プロセスのインプット、アウトプットを聞かれても間違うことはありません。




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