組織体の環境要因。プロジェクトは清濁併せ呑む


組織体の環境要因とは、プロジェクトを取り巻き、プロジェクトの成功に影響を与える内部と外部の環境要因のことである。
<PMBOK®ガイド>

プロジェクトは周りの環境から様々な影響を受けます。
「組織体の環境要因」Enterprise  Environmental Factors とは、その総称です。

で、PMBOK®ガイドが何を言いたいのかと言うと、組織体の環境要因はあらゆる計画のインプットになる、ていうか、しなければならないという、これまた当たり前の結論。

インプットにするということは、すなわち計画に折り込むということです。

冒頭の文章に戻りましょう。

まず、成功に影響を与えるといっても、プラス面とマイナス面の両方があります。
強調しているのはマイナス面。

当然ですね。
プロジェクトへの影響が大きいからです。

例えば、資材市況という環境要因を考えた時、資材が安く手に入る分には問題ありませんが、価格が高騰する可能性を予算計画に織り込んでおかないとプロジェクトは破綻してしまうかもしれません。

このように、マイナスの環境要因はプロジェクトに制約を課すことになります。

次に、「内部と外部の環境要因」とあります。
この境界はプロジェクトではなく母体組織。
プロジェクトは母体組織に属しているので、プロジェクトにとっては組織内部のことも環境要因なわけです。

会社で考えれば、会社が母体組織。
で、景気や為替、天気など、会社の外側のことはまさに外部の環境要因。
そして、社内設備や、人事、決済ルートなどの社内ルールが内部の環境要因になります。

PMBOK®ガイドには、組織体の環境要因の具体例として色々と列挙されていますが、キリがないのでここでは再掲しません。
PMP試験対策的にも覚える必要はありませんし。

要はですね、組織体の環境要因とは、組織内外に関わらず、プロジェクトから働き掛けが出来ないものだと押さえておけばOKです。

働き掛けは出来ないのに、影響だけは及ぼすんですから、プロジェクトで出来るのはそれに対処することだけです。

「だけ」と言うとなにやらネガティブですが、プロジェクト・マネジャーは、常にプロジェクトに影響を及ぼしそうな環境要因を見つけ、手を打っていく必要があるのだということです。

PMBOKの体系は、この考えが反映されていて、組織体の環境要因が多くのプロジェクトマネジメント・プロセスのインプットになっています。

ん?
多くの?

そうなんです、全部ではないんです。
インプットになっていないマネジメント・プロセスもあるということ。

でも、誤解しないように。
インプットに明示されていないからといって、そのプロセスに組織体の環境要因が不要というメッセージはありません。
メッセージ性のないものがPMP試験で聞かれることはありません。

Q 次のプロセスのうち、組織体の環境要因をインプットにしないものはどれか?

こういう設問はあり得ませんので。
これに正解するには、それこそ、体系の丸暗記が必要になりますが、実務で1ミリも役に立たないはもちろんです。

PMBOK体系から受け取るメッセージを挙げるとすれば、マネジメント・プロセスのアウトプットに組織体の環境要因がない(*)ということ。

(*)組織体の環境要因がアウトプットにはない:
実は例外的にアウトプットにしているプロセスが二つほどあるんですが、まさに例外。
その意味するところは、またその時に。

アウトプットにないということはつまり、先ほど言ったように、組織体の環境要因はプロジェクトで操作できるものじゃないということが体系に表現されてるわけです。

組織体の環境要因は、プロジェクトのあらゆる活動のインプットです。




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