組織の文化。プロジェクトは尊重しつつ迎合せず


組織は独自かつ特徴のある文化を育んでいる
<PMBOK®ガイド>

これだけだと、だからなに?
ていう感じでしょうか?

結論としては、だからプロジェクト・マネジャーはその独自かつ特徴のある文化を理解し、考慮してプロジェクトマネジメントに取り組まなければならないということになります。

そもそも組織の文化とはなんでしょう?
PMBOK®ガイドは組織の文化を形成しているものとして以下を挙げています。

  • 共有するビジョン、バリュー、規範、信条、期待
  • 方針、方法、手順
  • 動機づけと報奨制度
  • リスク許容度
  • 権限関係の見方
  • 労働倫理と労働時間
  • 職場環境

PMP試験対策として、これらを覚える必要はありませんが、見て分かる通り、公式、非公式に依らないということ。
組織の構成員の行動や、考え方をある方向へと導いている何ものか。
これが組織の文化です。

例えば、上に挙がっている「労働倫理と労働時間」。
残業が当然のごとく常態化している会社がある一方で、残業はイレギュラーとされ、マネジャーの命令がない限り残業できない会社もあります。

ところが、両社の残業規定に目立った違いはないんです。
就業規則には法令に基づいた雛形があって、どこも大差ありません。
にも関わらず、実際の残業の扱いはこれだけの差があるわけです。

こうした現場の残業の取扱については明文化もされてもいませんし、なぜそうなっているか?について誰も説明もできません。
せいぜい、「うちは昔からこうだから」。

これが、組織の文化です。

服装、エレベータの乗り方、上司の呼び方、休みの取り方、etc.
人が集まり、同じ時を過ごせば、おのずと雰囲気や慣習といったカラーが生まれ、それが必要に応じて公式なものに反映され、公式化されたものがまた、文化を強化することに寄与する。
こうして文化は組織に浸透していきます。

意味が分かったところで、大切なことを一つ。

PMBOK®ガイドは、この組織の文化を「組織体の環境要因」と位置づけています。

そう言われても「組織体の環境要因」というPMBOK用語を知らないと、その意図が分からないと思いますので、簡単に説明しますね。

環境ですから、コントロールできないんですよ。

例えば、天気。
工事に影響を及ぼす重要な変動要因には違いないですが、どうしうもないでしょ?
これがPMBOK用語としての組織体の環境要因です。

組織体の環境要因に対してプロジェクトが出来ることは、それを受け入れて対処することだけです。

組織の文化もソレ。

迎合しろという意味ではありません。
悪しき文化もありますから。

ただし、長い間培われた文化をちょっとやそっとで変えるなんてムリ。
ここは、正しい、正しくないの世界ではないんです。
文化に反することは、どんなに正当性を主張しても受けれてもらえません。

文化を変えるのであれば、それを目的とする一大プロジェクトをやるぐらいの覚悟が必要になります。

もっとも、これに関してPMP試験ではたいしたことは聞かれません。
原則を押さえておけば十分です。
相手の文化は尊重するという原則です。

例えば、
プロジェクトの計画において考慮しなくてもいいものはどれか?
という設問で、「組織の文化」を選ばなければOK。

 

少し話が散らかりますが、文化の尊重はグローバルなプロジェクトでは特に重要な原則です。
「PMI職務・倫理規定」ともリンクする話ですが、それはいずれまた。




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