調達実行における合意書の多くは、購入・販売という行為の一環として、購入者と納入者の双方が、相手に義務を課す法的な拘束力持つもので、書面による契約書という体裁をとります。
発注書や、注文書なんかも含むわけです。
拘束力というと、ネガティブなイメージを持つかもしれませんが、不確実性から、お互いを守るためものです。
ここは、文化というか、お国柄の違いが出る部分でもあります。
例えば、その量。
ホッチキス止めの日本(白い製本テープを貼ったりします)と、キングファイル数冊の米国なんていう風に揶揄されたりもします。
あちらの合意書の量が膨大になるのは、相手に期待する、ありとあらゆることを、可能な限り文書化するからです。
言わなくても分かるだろう、は無し。
PMBOKの指針もそういう感じです。
不確実性から守るということは、最悪を想定して契約するということでもあります。
損害賠償や、その範囲、解約条項、違約金などです。
事が起きてから対処を決めようとするから、利害がぶつかって揉めます。
予め、対処法を決めておけば、揉めた時にもそれを発動するだけ。
こういう考え方なんですね。
でも、こういうのは、私も含め、日本人は苦手です。
実際、もし、納期が守れなかったら?
なんてことを、話し合いのテーブルに載せることすら、難しかったりします。
なにせ、
「誠実に対処する」
なんてことを、まじめに契約書に謳ったりする文化なので。
もっとも、それでほとんどの場合、うまくいってるとしたら、契約社会より、社会はよっぽど成熟していると思ったりもするんですけどね。
ということで、PMBOK的に合意書の項目は、網羅性が求められるわけです。
・成果物の仕様
・SOW
・価格
・支払い時期
・納期、
ここら辺は誰でも思いつきます。
・検査方法
・受入基準
・プロジェクト終了後の保守・サポート。
こういうのも非常に大事です。
特注品の場合、サポートできる業者は納入者だけということ多いんです。
つまり、保守についてを、プロジェクト終了後に話し合うとどうなるか?
そうです。購入者に交渉力がないんです。
だって、「じゃあ他の業者に」って出来ないんですから。
ですから、購入者が最も交渉力のある、最初の契約で詰めておかなければならないということです。
・再委託の可否
一括請負の場合、通常、納入者に完成義務はあっても、どのように作成するかは、納入者に委ねられます。
例えば、大部分を下請けに出すことも納入者の自由です。
購入者は、それがイヤなのであれば、再委託の禁止を契約に盛り込む必要があるわけです。
合意書はプロジェクト憲章作成のインプットにも挙げられていて、プロジェクトチームが受け取る側の立場で論じられていますので合わせて理解しておいてください。
PMP試験では、プロジェクト憲章作成の合意書なのか、調達マネジメントの合意書なのかの区別は書かれていませんから。
本気になったら、講座でお会いしましょう!
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