プロジェクト・ライフサイクルの特性。形で理解し、言葉で言う。コストとの関係の場合

プロジェクト・ライフサイクル(project life cycle)とは、プロジェクトが立ち上がってから消滅するまでの全期間を指します。

英語を見ると、ライフサイクルはlifeとcycleの2単語。
PMBOK®ガイド日本語版の慣例に倣えば本来、ライフ・サイクルと中ポチを入れてカナ表記すべきかもしれませんが、誤記ではありません。

サイクルというのは、状態が変化してまた最初に戻る動き、循環とか周期とかいう意味なのですが、プロジェクト・ライフサイクルに表向きそういった意味はなく、単に一つのプロジェクト期間を指します。

だとすると、プロジェクト・ライフで良さそうな気もするのですが、収まりが悪いというか、読む人によっては“プロジェクト生活”になってしまいます。

英語のライフ・サイクルは、一応は「人生」とか、「一生」といった意味で使われますが、だからと言ってライフと言い換えられるわけではありません。
ライフ・サイクルには、生まれ変わりだとか、輪廻とかいう死生観が暗示されているからです。

プロジェクトだって、ゴーイング・コンサーン(*)である母体組織から見れば、プロジェクトの終わりは新たなプロジェクトのインプットです。
この点はPMBOK®ガイドにも謳われています。

(*)ゴーイング・コンサーン: 継続企業。
企業は永遠に営んでいくことを仮定して活動している。

さっきは、プロジェクト・ライフサイクルは単一プロジェクトの期間に過ぎないと言いましたが、わざわざ”表向きは”と但し書きを付けた意図は、深読みすれば周期的な特性を包含しているとも言えるからです。

 

能書きが長くなりました。
PMP試験向けの話をしましょう。
プロジェクト・ライフサイクルが持つ特性です。

プロジェクト・ライフサイクルの特性は横軸にライフサイクル、つまり時間を取ったグラフで表現されます。
縦軸は表現したい特性によって変わります。

プロジェクトと呼ぶための欠かせない条件が有期性と独自性だとすると(*)、プロジェクト・ライフサイクルの特性は一種のセオリーです。
(*)プロジェクトって何? プロジェクトの二つの特性

プロジェクトの条件というまでの縛りはなく、そうなるようにマネジメントされるべきであるという指針です。

ですから、実際のプロジェクトではその通りにならないものも多々あるわけです。

ですが、それはあくまであなたのプロジェクト。
PMP試験で問われるのはセオリーです。

そして、あなたのプロジェクトが、なぜセオリーと違ったプロジェクトなのか?
これが試験の論点になります。

 

プロジェクト・ライフサイクルにおけるコスト、および要員数の特性

まず一つ目に紹介するプロジェクト・ライフサイクルの特性は、縦軸にコスト、あるいは要員数を取った場合の特性です。

コストと要員数は違うものですが、プロジェクト・ライフサイクルにおける変化の様子は同じになります。
要員数を人件費と言い換えればよく分かるかと思います。

では、どういう形になるでしょうか?

 

答えは台形。

注文住宅を例にして簡単に説明しましょう。

スタートはゼロ。
最初は施主と営業マンぐらいで打ち合わせが行われます。
そこに、設計士が加わり、設計に合意すれば建築が始まります。
基礎工事には土木業者が入り、単位期間(1日とか)当たりの消費コストと要員数はピークを迎えます。

ここまでが台形の左辺。
原点から右肩上がりの線です。

次に工事期間中は、作業工程に応じて、工務店、電気工事業者、内装業者などが随時現場に投入されピークが続きます。
ここが台形の上辺にあたります。

完成に近づけば、五月雨(さみだれ)式に工事関係者は減っていき、最後はまた、施主と設計者、営業マンだけが残り、引き渡しが済めばゼロになります。
これが、台形の右辺。
右下がりの線です。

いががでしょう?
学生相手ならともかく、経験者にとっては説明が少しくどく感じたかもしれませんね。

でも、「なぜ台形になるんですか?」
このようにセオリーの理由を聞かれたときに、言葉で説明することを意識するといいと思います。

というのも、PMP試験において、絵が示される設問はほとんどないからです。
設問文から選択肢にいたるまですべてが文章。

今取り上げているプロジェクトの経過とコスト・要員数との関係が台形になるということは経験者にとってごく基本的なことですが、文章で問われると一転して難易度が上がるようです。
落とす方がチラホラ出てきます。

例えば、

A. 1日当たりのコストは一定ではない
B. 終結に向けて1日当たりのコストは増えていく

Aは○で、Bは✕です。
台形を思い出せば明らかなんですが、文章だけで評価するとちょっと悩んでしまうということです。

というか、絵が無いと、プロジェクト・ライフサイクルの特性が設問のテーマであることすら気が付かない受験生がいます。
こうなるともう感覚で答えるしかありません。

特にBの記述は、トラブルプロジェクトばかりを経験した人にとっては正解に見えてしまいます。

セオリーを図で理解したなら、試験の文章を見た時にその絵が頭に浮かぶようになって欲しいものです。

このプロジェクト・ライフサイクルとコストとの関係は、コスト・マネジメントでもう一度詳しく取り上げます。



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