プロジェクトを生み出すプロダクト・ライフサイクルの4つのフェーズ


定常業務にプロジェクトがどう関係づくのかということを解説したわけですが(*)、その続編です。

(*)プロジェクトと定常業務。別モノながら密接な関係

定常業務のニーズからプロジェクトが生まれるということをPMBOK®ガイドは別の切り口で論じています。

営利企業の定常業務とは詰まるところ自社のモノやサービスを売って稼ぐ活動のことです。

そのモノやサービスが生まれてから消滅(*)するまでをプロダクト・ライフサイクルといいます。

(*)市場に投入されてから撤退するまでのことです。一つのモノが作られて廃棄されるまでのことではありません。

マーケティングの教科書を覗いたことのある人ならプロダクト・ライフサイクル・モデルなるものを見たことがあると思います。

これはプロダクト・ライフサイクルと市場との関係を表現したものですが、それをグラフ化したものが次の図です。

 

 

横軸に時間を取り、縦軸に市場占有率や売上などを取ると、時間の経過に応じてこのようなカーブを描くというわけです。

さらに期間を大きく4つに分けて、それぞれステージを特徴づけています。

左から行きましょう。

導入期

商品が市場に投入されて間もない時期です。
消費者に認知されていませんし、耐久消費財などであれば、購入までの検討期間も長くなりますから、なかなか売れません。
プロモーションや営業コストが売上を上回り、赤字の状態です。

成長期

プロモーションの効果が表れる時期です。
市場規模が拡大したり、市場占有率が高まり、利益が出始めます。

成熟期

市場規模や、市場占有率が安定し、最も利益率の高い時期です。

衰退期

飽きられたり、競合製品や代替商品に取って代われて、市場占有率が下がってきたり、あるいは市場規模そのものが小さくなって行きます。
回復が見込めなければ、事業の縮小や撤退も視野に入ってきます。

モデルの形状は様々

多くの商品に当てはまるモデルですが、形は様々です。
横軸の目盛りが年数のような商品もあれば、週数のようにライフサイクルの短い商品もあります。

あるいは、導入期から衰退期まで、ほとんど一つの山のようにしか見えないブーム的な商品もあるでしょう。

そして、最も多いパターンは、成長期すら迎えられずに撤退してしまう商品だとも言われています。

あるいは市場の括り方でモデルも変わってきます。
例えば、自動車という商品は成熟期の後半にあると考えられます。
しかし、全く新しい車種を開発すれば、その車種に限れば、導入期から始まるわけです。

 

プロジェクトとプロダクト・ライフサイクルの関係

以上のことはマーケティングの教科書に書いてあることですが、PMP試験では論点になりません。(ガクッ)

プロダクト・ライフサイクルがPMBOK®ガイドで取り上げられる場合は、当然ながらプロジェクトと絡めてです。

曰く、プロダクト・ライフサイクルのステージに応じて、様々なプロジェクトが必要になってくるというわけです。

まず、上の図の範囲外である左端の外側には市場に投入する商品の開発プロジェクトがあるはずです。
つまり、開発プロジェクトの完了がすなわちプロダクト・ライフサイクルのスタートになるわけです。

そして、導入期、成長期、成熟期を通じて、販促キャンペーンなどの認知度を上げるためのプロジェクトが必要になってきます。

衰退期にはテコ入れのために商品の改良プロジェクトやラインナップの追加プロジェクトが必要です。

あるいは撤退する場合でも、突然撤退するわけにはいきません。
市場に出回った商品のサポートをどうするか?や、製造設備やスタッフの再配置など、ソフトランディングするための撤退プロジェクトが必要です。

どのステージにどういうプロジェクトが必要になるか?というのもプロジェクト・マネジメントの方法論ではありませんので、試験で聞かれることはありません。

要はプロダクト・ライフサイクルの形状をコントロールする道具がプロジェクトだということです。
プロジェクトがプロダクト・ライフサイクルの一局面であることを押さえておいてください。

PMBOK特有のステージの呼称

注意しておきますが、プロダクト・ライフサイクルのステージの呼び名はPMBOK独特です。

導入期⇒引き渡し。
衰退期⇒撤退。

いずれもプロジェクトとの関係を強調している所以です。
特に既にプロジェクト・ライフサイクルを知っていた方は注意しておいてください。
PMP試験の選択肢に使われますので。

 

しないとは思いますがケアレス・ミスにも注意

試験向けに実はも一つ注意しておきたいことがあってですね。
それは何かというと、

プロジェクト・ライフサイクル
プロダクト・ライフサイクル

これ、すごく字ヅラが似ているんです。
見間違えないようにしてくださいということです。
(苦笑)

しないとは思いますが、わざわざ言っているのは、実際に読み間違う方がいるからです。




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