プロジェクトと定常業務。別モノながら密接な関係

組織は特性の異なる2つの業務によって成り立っているというのがPMBOKの立場。
その2つとは、一つが定常業務。もう一つがプロジェクトです。

PMBOKの分類としてはこの2つだけです。
プロジェクトでなければ定常業務。
定常業務でなければプロジェクト。

もっとも、PMBOKはプロジェクトの方法論ですから、定常業務そのものは論点にはなりません。
PMP試験向けには、あくまでプロジェクトとの関係としての定常業務を理解することが肝要です。

 

定常業務とは

定常業務はoperations(オペレーション)の和訳。
営利企業であれば売上を上げるための活動とでもいいましょうか。

商品を仕入れて、店頭に並べて、売る。
これは小売業の定常業務。

製造業であれば、商品仕入れが材料仕入れに変わり、これに作るという業務が加わります。
サービス業であればサービスを行うことがすなわち売るということになります。

そして、どんな業種でも欠かせないが営業。
さらに、それら定常業務を側面支援する定常業務が総務、人事、経理、ITの運用等々。

これらを総称して定常業務と呼びます。

 

プロジェクトと定常業務との対比

定常業務の特性はプロジェクトと逆と捉えていれば結構です。

プロジェクトの代表的な2つの特性。

逆ということは、

・有期性がない、すなわち終わりがない。

これに説明の必要はないでしょう。
冒頭で言った通り、定常業務は売上の源泉なんですから。
改善や、ときには改革を進めながら永続的に続いていくことを目指します。

そして、

・独自性がない

もし、これを見て、
「そんなことはない。うちの定常業務は他社にない独自のものだ」
なんていうことを言いたくなった方は独自性の意味が分かっていません。
まずはそこから押さえましょう。

独自性がないという意味は、前例に基づいてやる、マニュアルに基づいてやる、すなわち繰り返して行う業務だということです。

プロジェクトの独自性。人や組織によって異なるものさし」

 

定常業務のニーズがプロジェクト

プロジェクトと定常業務には密接な関係があります。
当然ですね。
だって同じ組織が行うんですから。

まず、プロジェクトは定常業務からのニーズによって生まれます。

競合商品に備えた新商品開発プロジェクト。
生産が追いつかなくなれば、生産ライン増設プロジェクト
社屋が手狭になれば引っ越しプロジェクト。
etc

いずれも、定常業務で解決しなければならない課題が認識されて、それを解決する手段としてプロジェクトが企画されるわけです。

定常業務からの支援が欠かせないプロジェクト

プロジェクトが立ち上がってからも定常業務との関係は続きます。
なにしろ、プロジェクトは定常業務の協力なしには進みません。
ニーズの把握から、プロジェクトに必要な人や資源の供給を定常業務から受けます。

もちろん、プロジェクトへの機運を盛り上げ、定常業務の協力を促進するのがプロジェクト・マネジャーの腕ともいえます。

 

成果は定常業務に移管されプロジェクトは終わる

プロジェクトの成果は移行フェーズと呼ばれる定常業務に移す工程によってプロジェクトを離れます。

この時期、定常業務はプロジェクトの成果を業務に組み入れることによって、業務フローが追加されたり、または削減されたりと、プロジェクトからの影響を最も受けることになります。

立上げ、計画、実行、テスト等、フェーズは頭にその役割を表す色んな枕詞を付けて呼ばれますが、定常業務に最も影響の大きいフェーズは?と聞かれたら、迷わず移行フェーズと答えてください。