内外製分析。見えないコストも積み上げろ


内外製分析にあたっては、直接費と間接費の両方を含めた関連するすべてのコストを考慮する。
<PMBOK®ガイド>

すべてのコストと言っているんですから、その通り、すべてを含めて内製と外製を比べればいいだけなんですが、割と理解が難しかったりします。

特にPMBOK®ガイドが注意を促してるのが、この間接費。

間接費は、コスト・マネジメントで論点になってましたね。
簿記2級程度の人にとっては、「またか」、という感じでしょうか。

が、しかし、

ここで言ってる間接費は、コスト・マネジメントで論点となっていた、いわゆる会計用語の間接費ではありません。

その概念は簿記のテキストにも出てきません。

でもPMBOK®ガイドの原語は一緒なんです。

indirect cost。 間接費と和訳するしかありませんね。

 

では、ここでの間接費の意図はと言うと、

例えば、
自社の社員1人が一ヶ月かけて完成するスコープがあるとします。

この人の一ヶ月の人件費が50万円。

で、ある納入候補者に同じスコープの見積りをとったところ、30万円。

どうしますか?

もっとも、運用・保守のコストだとか、余計なこと(あくまでここだけの話)は考えなくていいですよ。

外製30万円 VS 内製50万

聞くまでもありませんね。
迷わず外製です。

と、ちょっと待った。

内製は50万でできるかもしれませんが、外製は30万円でできるんでしょうか?
というのがPMBOK®ガイドのメッセージ。

誰が、どうやって、納入者に仕様を伝えるの?
誰が契約書作るの?
誰が途中のチェックを入れるの?
誰が検査するの?

そう、これらはぜえーんぶ購入者の仕事。
これらの仕事、一言でいうと、これが今やっている知識エリアの調達マネジメントです。

調達マネジメントは、調達、外製しないと必要のない領域です。
つまり、外製することによって新たに生まれる工数なわけです。

調達という行為には、購入者として果たさないといけない責任があって、ここに工数をかけなければ調達はうまくいかない、というのがPMBOK®ガイドのメッセージです。

これにどれくらい割かれるのかを見積もって、
外製30万円 VS 内製50万
の左辺に加えないと、正しい比較になりません。

仮に、1人の一ヶ月の1/3が割かれるとすれば、かなり微妙な選択になってくるというわけです。

これが、冒頭で紹介したPMBOK®ガイドの間接費の意図です。
間接費、すなわち、調達マネジメントの工数だということです。

 

さて、先ほど、この間接費が、会計的な間接費と違うと言ったのは、いわゆる原価計算で顔を出さない性質のものだからです。

内製だろうが、外製だろうが、元々プロジェクト・メンバーは人件費として計上されています。

そのメンバーが新たな仕事として調達マネジメントを担うことになっても、そのコストは積み上がりません。
というか、積み上げてはいけません。
二重計上になってしまうので。

でも、間違いなくコストなんですよ。
機会コストと呼べるものかもしれません。

機会コスト、機会遺失コスト。
ある選択のために、失われる利益のことです。

どういうことかと言うと、スタッフ1人の一ヶ月の工数は決まっていますから、調達マネジメントに割かれることによって、何かができなくなるわけです。
これが機会コスト。

なんだか、外製の不利な面を強調したようなトーンになってしいましたが、そんなことはありません。

機会コストを考慮するからこそ、限られた工数をコア・コンピタンス(*)に集中するために外製を利用するわけです。

(*)コア・コンピタンス:
内外製分析で実は最も大切にしなければならないこと。




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