内外製分析で実は最も大切にしなければならないこと


内製か、外製かをプロジェクトのニーズによって決める。
とりあえず、こんなことを用語の解説として述べたわけです。
内外製分析。能力があるからこそ悩んでしまうというこの矛盾

ここでは内外製分析をもう一段高い視点から眺めてみます。
もちろんPMP試験の論点にもなっています。

一段高い視点とは、母体組織から見た内外製分析ということ。
PMBOK®ガイドにはこんなことが書いてあります。

プロジェクト・チームが所属する組織の長期戦略も内外製分析で考慮する一つの要素である。
<PMBOK®ガイド>

コア・コンピタンスなんていうんですが、組織は、これから、10年、20年と市場で生き残っていく中で、どこで差別化していくつもりなのか?

その差別化要因に関わるスコープを、外に出しちゃっていいの?
ということです。

技術や、ノウハウというのはプロジェクトでこそ磨かれます。

プロジェクトに、経験値が少ない、リスキーなスコープがあったとして、それを安くやってくれる納入者がいたとして、そのスコープを外製するということは、すなわち、ノウハウの獲得の機会を手放すということです。

目先の(つまりプロジェクトの)利益に囚(とら)われて組織として間違った判断にならないようにしないといけないということです。

この組織戦略がプロジェクトにまで周知されていれば、

プロジェクトにおける現在の制約条件や要求事項にとらわれずに、内外製の意思決定をすることができる。
<PMBOK®ガイド>

 

外部プロジェクトの場合、たとえ、内製することが、コスト的に不利であっても、将来の差別化に寄与することは内製する。
差別化要因に関係ないことは積極的にアウトソース(外製)する。

企業経営論で言われる、「選択と集中」は、プロジェクトにも当てはまります。

 

挑戦的なプロジェクトのコスト処理のし方

さて、プロジェクトが、内製の目的を、ノウハウの獲得や、実績作りに置いた場合、採算を度外視して、たとえコスト的には不利な結果になったとしても内製を選ぶということです。

であれば、そのコストをそっくりそのままプロジェクトに負わせるのは、ちょっと筋が通りません。

内製する場合、プロジェクトが負担するコストが実際のコストより、低くなる場合がある。この差分は組織が将来に対する投資を行うことを表す。
<PMBOK®ガイド>

PMBOK®ガイドのこの部分、理解できない人、誤解してる人がすごく多いんですが、次のような外部プロジェクトを前提にすると分かりやすいと思います。

プロジェクトには、経験のない技術が含まれているので、内製するためには、実証実験やトレーニングなどのコストがかかってしまって利益確保が難しい。
しかし、このプロジェクトが赤字でも、その経験が今後の受注につながる。

この場合、この実証実験やトレーニングのコストをプロジェクトに負担させるのではなく、組織の投資として処理し、プロジェクトの原価から外すわけです。

実際、実証実験やトレーニングの成果は、組織の無形資産として価値を持つわけですからね。

これが、上記のPMBOK®ガイドから引用した、
”プロジェクトが負担するコストが実際のコストより低くなる場合がある。”
の意味です。

これらコストを、プロジェクト原価にしたまま、プロジェクトの利幅や、赤字をプロジェクトの責任にしてしまうなんてもってのほかです。

そんなことをすると、組織内に、新技術やリスクに挑戦しようとする空気は生まれなくなります。

ここはPMBOK®ガイドにしては肌理(きめ)の細かい点まで言及されていると言っていいでしょう。

安全・安心なスマートなプロジェクトを希求しているイメージのPMBOK®ガイドですが、ここはちょっと熱いものを感じます。

でも考えてみれば、そもそもプロジェクトってのが、挑戦する姿勢そのものなのです。

 最後に

実をいうと、この論点、PMBOK®ガイドの第3版まではあったのですが、なぜか第4版でごっそり削除されました。

PMBOK®ガイド5版での復活を期待したんですが、ダメでしたね。

しかし、改定履歴に明記された上で削除されたわけではありませんから、不要だとか、間違ってたなんていうことではありません。

PMP試験の出題実績もありますので、考え方としてしっかり押さえておいてください。

組織の長期戦略は、プロジェクト・マネジャーの任務ではありませんが、そこにコミットし、プロジェクトを組織の長期戦略に一致させることはプロジェクト・マネジャーの役割です。
ここはPMBOK®ガイドの第1章の重要論点なわけです。


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