内外製分析。能力があるからこそ悩んでしまうというこの矛盾


内外製分析 Make‐or‐buy analysis。
読んで字の如し、作る(内製)か、買う(外製)かの検討です。
プロジェクトの一部、あるいは全てについて。

内外製分析は、調達マネジメント計画のツールと技法です。
そして、内外製分析の結果が、同じく調達マネジメント計画のアウトプットになって、後続の調達実行のインプットになるわけです。

購入するからこそ、調達マネジメントの領域に入ってくるわけなんですが、そもそも、作るか?買うか?どっちにするか?、という分析も調達マネジメントの範疇だということです。

もっとも、そのような検討の余地すらないケースは多々あって、通常の組織において、業務システムの導入や、自社ビル建設などで、内外製分析が登場することはないでしょう。

内製か外製かで悩むということは、すなわち内製が可能ということに他なりません。

アウトプットに内外製決定とあるとおり、内製か外製かは、選択の産物であり、双方のメリットとデメリットを比較して行われる意思決定のプロセスであるということです。

 内外製分析のモノサシ

まずは、誰でも考え得るモノサシからを挙げてみましょう。
プロジェクトの制約条件がそのまま、内外製分析のモノサシになります。

スコープ
全体スコープのうち、どの部分を内製、あるいは外製するかということ。
以下の項目を総合的に判断することにになります。

タイム
内製と外製どっちが納期の達成に寄与するか?

どっちが早いかということも判断材料ですが、それよりも負荷調整弁として機能します。
10人で一月分の作業があるとして、5人しか用意できなければ、倍働いてもらうか、5人分の作業を買うしかないわけです。

コスト
内製と外製どっちがお徳か?

品質
内製と外製どっちが高品質か?

リスク
内製と外製どっちがリスキーか?

 

これらモノサシはプロジェクトの制約と同様に、トレード・オフをどう処理するかが難しいところ。
コスト・メリットはあるんだけども、リスキーであるとかね。

 

プログラム・マネジメント
上のタイムのところで書いた負荷調整なんかを、プロジェクトだけで考えるのではなく、プログラムで検討すると、組織としてより良い判断ができるということです。

プログラム・マネジメントの効果として挙げられている、資源の有効活用のことです。

一つのプロジェクトで過負荷でも、プロジェクト間で調整すれば外製に頼る必要がなくなる場合もあるということ。

ベンダーなんかの中間管理職の大事な仕事です。
PMBOK®ガイドの用語を使えば、プログラム・マネジャー。

もちろん、プログラムといわず組織全体にまで広げて検討してもかまわないわけですが、PMOのような部署が必要になってくるでしょうし、それが可能な組織がPBOということです。
これはPMBOK®ガイド第1章の復習。

 

コストをモノサシにするときの注意

 

プロダクト・ライフサイクルで考える。

コスト・マネジメントの冒頭で論じられていることの復習です。

購入価格というのは、いわゆるイニシャル・コストでプロダクト・ライフサイクル全体で必要となるコストのほんの一部でしかないということです。

通常は、外製すれば、それに伴って保守・運用も外製しなければなりません。

内製すると、自分たちで保守・運用できるわけですが、こうしたことも含めてコスト・メリットがあるかどうかということです。

 

購入かレンタルか。

外製するにしても、買うか、借りるかという選択です。

多くの場合、成果物のスコープというよりは、プロジェクトで必要となる設備に関してこうした選択肢があります。

PMP試験向けには、大した論点ではありません。
利用期間によってどっちがお得になるか、小学生でも分かるようなことです。

ただし、ここでも保守・運用を考慮に入れること。
レンタルなら、故障によるリスクはレンタル会社に移すことができます。

あるいは、プログラム・マネジメントの視点も必要です。
一つのプロジェクトでの利用は短期間でも、他のプロジェクトでも利用することがあるからです。

 

リース?

実は、このPMBOK®ガイド日本語訳の「レンタル」は、原文では、”lease(リース)”となっているんです。

会計的な意味で、レンタルとリースは大きく違います。

リースが長期間のレンタルと思われている向きもありますが、そうではなく、実体はむしろ購入に近く、会計テクニック的な側面を持っています。

ですが、PMBOK®ガイドの和訳チームは、それを承知の上で、あえてレンタルという訳を選んだのでしょう。

一般的なリースが持つ、会計テクニックとしての意味はまったくなくて、単なる「借りる」という意味しかないということです。
だったら、「レンタル」にした方が誤解がないということだと思います。

とはいっても、PMP試験で、「リース」なんていう言葉がひょこり使われる可能性も否定できません。

でも、レンタルとリースの違いなんて、PMP試験の論点にはなりませんので、リースもレンタルの派生語ぐらいの認識で頭の隅にでも置いておいてください。

さて、このように内外製分析で考慮すべきことは色々あるわけですが、実はもう一つ大切なことがあって、それを言ってしまうとですね、ここで述べてきたことを全部ひっくり返すぐらいのインパクトがあるんです。

では、次のエントリで解説します。

内外製分析で実は最も大切にしなければならないこと




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