人的資源マネジメントのプロセス構成。 変則的な配置に隠された意図とは?


人的資源マネジメントは4つのマネジメント・プロセスから構成されます。

パッと見、他の知識エリアと比べると、マネジメント・プロセスの配置が変則的ですよね。

    1. 人的資源マネジメント計画
    2. プロジェクト・チーム編成
    3. プロジェクト・チーム育成
    4. プロジェクト・チーム・マネジメント

最初の人的資源マネジメント計画が計画プロセス群。

あとすべて、3つとも実行プロセス群に配置されています。

PMBOK体系の実行プロセス群はスカスカなんですが。
これは、プロジェクト作業の大半は実行部隊が担うものだし、成果物に特有の様々な専門領域だからです。
PMBOKは、多くの業種に共通するマネジメントのみにフォーカスしてるので。

そこにあえて、マネジメント・プロセスが配置されているといういことは、人的資源マネジメントそのものが、プロジェクト・マネジャー、あるいはプロジェクトマネジメント・チームの主たる役割であることを示しているわけです。

さらに、監視・コントロールプロセス群にプロセスがありません。

これは、10ある知識エリアのうち、この人的資源マネジメントだけです。

しかし、人的資源マネジメントにおいて、監視・コントロールの役割は、要らないのかというと、決してそうではありません。

人的資源マネジメントにおいては、確たるベースラインがないだけで、他の知識エリアと同様、現状をつぶさに観察し、予測と比較し、計画を見直し、必要な処置を講じていくことに変わりはありません。

実は、
人的資源マネジメントの実行プロセス群の一番最後のプロジェクト・チーム・マネジメント、これが、人的資源マネジメントにおける監視・コントロールの役割です。

このプロジェクト・チーム・マネジメントのインプット、アウトプットを見ると監視・コントロールプロセス群おきまりのインプット、アウトプットが並んでいるわけです。

つまり、プロジェクト・チーム・マネジメントは、その役割からすると、監視・コントロール・プロセス群に配置されるべきマネジメント・プロセスだということです。

過去のことを言うと、
PMBOK®ガイドの第3版までは、そのような配置だったんです。

PMBOK®ガイド第4版で、プロジェクト・チーム・マネジメントは、わざわざ、監視・コントロール・プロセス群から実行プロセス群に移動されたということです。

この移動によって、かえってプロセスの役割が、分かりずらくなったような感じがして、その変更意図は、ハッキリしないのですが、
これは、マネジメントの対象である人間に対して、「監視」、あるいは「コントロール」という言葉を嫌ったといわれています。

 

タブーな歴史を連想させるからなんでしょうか?

PMBOK®ガイド第3版の時代から、プロジェクト・チーム・マネジメントは、監視コントロールプロセス群であるにも関わらず、プロセス名に、コントロールという言葉は使われていません。

第4版では、さらに、その考えを、分類のし方にまで、反映したということです。

日本人の感覚からすると、非常にセンシティブというか、気の使い方に、お国柄が感じられる部分ですよね。

PMBOK®ガイドの思想を理解する上で、知っておいてもいい背景かと思います。

ただし、このようなことは、PMBOK®ガイドの発刊元であるPMIの公式なアナウンスではありません。

それでも、あえて、私がこういうことを言ったのは、プロジェクト・チーム・マネジメントの役割について理解の助けとなるからです。

 

言うまでもなく、プロジェクト・チーム・マネジメントの正式な分類は実行プロセス群です。

そこだけ注意すれば、人的資源マネジメントのプロセス構成は、非常に分かりやすいと思います。

まず、
計画があって、
次に、
計画に基づいてチーム編成をする、
そして、
そのチームが成果を上げられるように育成する。
そして、
チーム状況を監視し、コントロールし、編成や育成にフィードバックする。

プロセス名称だけで、大まかな役割は想像できるでしょう。

 

以下は試験向けです。
冒頭の図で確認するといいでしょう。

人的資源マネジメント計画のインプットは、知識エリア間、共通のプロジェクトマネジメント計画書・・・図の①

そして、
人的資源マネジメント計画書は、プロジェクトマネジメント計画書の補助の計画書として、これに統合されます。

ですから、あとの実行プロセス群のインプットは、上位のプロジェクトマネジメント計画書でも、補助の人的資源マネジメント計画書でもどちらでもかまわない感じですが、他の知識エリアにならって、下位の人的資源マネジメント計画書をインプットにしています。・・・図の②




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