実費償還契約。スコープのゆれを吸収する


実費償還契約は、契約タイプの2つの大分類のうちの一つです。

実費償還契約 Cost-Reimbursable Contract

実費、掛かった費用を、納入者が一旦負担し、
償還、それを、購入者が納入者に返還することです。

ただ、これだけだと定額契約との違いは分りませんね。

定額契約だって、費用は納入者が一旦負担して、完成をもって購入者が支払うわけですから。

定額契約との大きな違いは、支払い額を契約のときに決めないということです。

スコープの契約はしますし、当然、その見積もりぐらいはするでしょう。

でもそれを、契約額として確定させないということです。

さて、このような契約を結んだ後、どうなるでしょう?

購入者がスコープを広げようとします。
スコープの拡張はコストを増大させますから、実費償還契約では、それは自らの支払い額を増やすことになります。

なので、購入者は広げようとするスコープとそれに伴うコストが見合うものであるかの検討を迫られるわけです。

これでスコープの拡張に歯止めが掛かるわけですね。

一方、納入者は、掛かったコストの全額を購入者が払ってくれるわけですから、スコープの拡張を断る理由がありません。

どうです?
定額契約で発生していた、スコープの変更にまつわる購入者と納入者の対立がありません。

つまり、契約時にスコープを厳密に定義しなくても、利害の衝突は起きないということです。

プロジェクトマネジメントの特性である、段階的詳細化とマッチした契約といえるでしょう。

では、
プロジェクトでは、実費償還契約が優れていて、定額契約が劣っているんでしょうか?

そんなことはありません。
実際、定額契約は多くのプロジェクトの採用されています。

あらゆる技法と同様、定額契約と実費償還契約も、その長短を認識した上で、使い分けるものなわけです。

スコープに関する両者の違いは説明しましたが、その他の違いを見ていきます。

次は、その使い分ける視点で、両者を比較してみます。




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